高速馬場

セックス以外の趣味を気軽に書いてみようと思ったら長文になってしまった今回のブログ、競馬の話題です。最初に言っておきますと、私は今は馬券はまったく買っていません。ギャンブルと名の付くものはほとんどしないですね。(年を取れば取るほど賭け事に興味が薄れていってます。皆さんはどうでしょうか?)競馬に関してはサラブレッドそのものと、スポーツ競技として好きで。ですので「観る」競馬を楽しんでいます。

アイキャッチ画像はそんな私が競馬ファンになるきっかけをくれた馬、グラスワンダーです。今年で24歳、人間の年に換算すると100歳近くのおじいちゃんになりますね。同学年にエルコンドルパサーやスペシャルウィークという名馬がいて、1学年上にはこれまた語り出すと止まらなくなるサイレンススズカという馬がいます。

写真引用元:スライムの競馬ブログさま

http://blog.livedoor.jp/slime0/archives/2613337.html

なぜ好きになったのか?栗毛の馬体がカッコいいから。(見た目から入るのは馬に対しても女子に対しても同じです。)全身が黄褐色の毛で覆われる毛色を栗毛というのですが、太陽の光に反射すると金色に輝いているように映えます。彼が活躍していた時代は私がちょうど20歳になったばかりの頃でー忘れもしない1998年の有馬記念。初めて競馬場に行って、初めて馬券を買って、そして初めて勝たせてもらったお馬さんです。

それから約20年。競馬に関して語りたいエピソードは山ほどあるのですが、今回はタイトルにした『高速馬場』について、競馬に詳しくない方を意識して書いてみたいと思います。昨今、日本の競馬が海外のそれと比べて異常なほど速いタイムだというのはずっと指摘されてきました。昨年、この議論に拍車をかける”事件”がありまして・・。ジャパンカップでアーモンドアイという牝馬が世界レコードで優勝したんですね。

(この子がアーモンドアイ。馬名の由来は「美人とされる顔の目の形」なのだそうです。ちなみに人間でいうと、当ブログでも採りあげた北川景子さんはアーモンドアイだと思います。)走破距離2400mでタイムは2分20秒6。比較材料として、欧州の最高峰と呼ばれるフランスの凱旋門賞を挙げます。同距離2400m。この50年で一番速かったタイムが2:23.61でその差約3秒。これを距離に換算すると、約43mになります。

「43m差!?余裕やん!」とならないのが競馬の難しさなのですが・・。実はこの凱旋門賞、1969年から20頭以上の日本馬が挑戦しているのですが、未だ未勝利です。結果として失格扱いになりましたが「日本近代競馬の結晶」と呼ばれたあのディープインパクトでも1着入線できませんでした。そして「日本馬がこれだけ凱旋門賞に勝てないのはなぜか?」という議論でいつも挙がるのが、テーマとした「馬場の違い」です。

馬場の違い。一般的に言われるのが、日本の馬場は短く刈り込んでいて固い。だから走りやすく、だから速い時計が出る。欧州の馬場は深く柔らかい。だから走るのにパワーが必要で、だから時計がかかる(私もこの一般論を無条件に信じていました。)他の競技に例えると、整備されたアスファルトの上を走るF1と、砂漠を走るダカール・ラリーとでは使う車の種類もタイヤも、当然タイムにも違いがあるという話です。

もちろんアーモンドアイの能力に疑いはなく、競馬ファンとしてスーパーホースの出現は大変喜ばしいことではありますが・・。競馬関係者からもこのような声があがっています。以下は公営・笠松競馬場とJRAでトップジョッキーとして長く君臨し、現在は競馬評論家として活動中の安藤勝己(通称アンカツ)さんの言葉です。

(略)あのJCに関しては手放しに喜べん。アーモンドアイの快走を「正」の面とするなら、確実に「負」の面も存在しとるからな。「負」の面とは一体なんぞやって、JCの存在意義に関わることや。

もともと、JCは「世界の競馬に追いつき追い越せ」って思いから始まった国際競走なんやけど、近年のJCは国際競走に値するレースではなくなっとるのが現実や。参戦した外国馬は18年は2頭、多くて4頭ってとこやで、「国際競走」の冠をつけるのはちょっとおこがましいというか…。

結果もひどいもんや。最後に外国馬が勝ったんはアルカセット(05年)やったっけ。今や日本馬の独壇場、外国馬は頭数合わせって感じやからな。

対照的に日本からはドバイだ、香港だ、凱旋門賞だと、こぞって海外に遠征するようになっとる。海外の大レースは日本馬というか、日本の関係者にとって大きな魅力になっとるけど…。逆に外国の関係者にとってJCは魅力を感じないレースってことになるわけや。

じゃあ、どうしてそんなことになったんか? よく言われるんは「JCは効率が悪い」って点やな。ドバイや香港の国際競走は一日にいくつもGIがあるで、複数の馬を連れて行けるのに対し、JCの場合は単独やからね。ましてJCの後に一日でGIが4競走施行される香港国際競走が控えとるってなれば、海外の関係者はどうしても香港を選びがちになるって話や。

でも、ホンマに理由はそれだけなんやろか? まあ、効率うんぬんも要因のひとつになっとるんは間違いないとこやけど、他にも無視できん理由がいくつかある。

なかでも一番大きいんは「馬場」の問題やね。アーモンドアイの超絶レコードを持ち出すまでもなく、日本の競馬場が異常な高速馬場なんは周知の事実や。当然、海外にも知れ渡っとる。となると、時計のかかる重い芝で競ってきた外国の関係者が「あんな軽い芝じゃ、日本馬が勝つに決まっとる」とばかりに敬遠しがちになるのは当然の話やろ。まあ、勝負以前に硬い馬場が馬の脚に良くないと考える関係者も多いやろしな。

引用元:東スポweb https://www.tokyo-sports.co.jp/race/horse/1232953/

先に「私もこの一般論を無条件に信じていました。」と書いた通り、この安藤さんの言葉、考え方こそ真理だと信じて疑っていませんでした。が。高速馬場について触れられている記事で、デイリースポーツさんの記者さんが書かれた非常に秀逸なものを見つけましたのでこちらも引用させて頂きます。ちなみに、記事内にある「フランスのロンシャン競馬場」こそ、凱旋門賞が行われている競馬場です。

(略)みなさんはどう思うだろう。時計の出る芝はどのようなものなのか。硬いと連想する人は少なくないはずだ。実際に硬い馬場は時計が出やすくなる。だからといって硬い馬場しか時計が出ないということではない。ここがポイントだ。

JRAが目指す馬場。公正に全出走馬が能力を発揮し、かつ安全であること重視している。決してレコードや時計が出る馬場を歓迎しているわけではない。馬場の均一性、平たん性、クッション性を追求し、進化に努めている。時計が出ているだけに硬い馬場をつくっていると思われがちだが、それは真逆。むしろ柔らかい馬場を目指してやっている。

馬場のクッションを数値化するもので重力加速度というものがある。単位は加速度としても用いられる“G”。東京競馬場の芝は約90Gとなっている。あまりピンとこない人もいるだろう。東京競馬場のパドックに敷かれている人工芝が約190Gで一般的な学校の校庭で約600Gだ。年代によって上下するものの、近年でもっとも硬かったのは90年代前半の芝で約130G。そこから安全性を重視するようになり、05年からは80Gから90Gの間を推移している。しかし、時計は年々、速くなる傾向にある。要するに、馬場の硬度と時計の速さに大きな相関性はない。では、なぜ時計が速くなっているのか。

その鍵を握るのは芝の種類と日本の技術にある。硬度で比較するなら世界の競馬場と大きな差はない。それでも速い時計が出ているのは、日本の競馬場は野芝を主に使っているからだ。日本には四季がある。その環境に適しているのが野芝。フランスのロンシャン競馬場はペレニアルライグラスをメインとしている。この二つの特徴は芝の見えている部分ではなく根っこにある。野芝の根は網目状に張り巡らされるのに対し、ペレニアルライグラスは1本1本が単体で生える。要は野芝は根の部分がカーペットのようになっており、グリップがしっかり利くが、ペレニアルライグラスは脚に絡みつくようなイメージだ。もともと走りやすい芝に加え、前述した均一性、平たん性を突き詰めたところ、時計が出るようになった。

そこに日本人の勤勉さが加わる。約30年前からの取り組みとして、日本の競馬場の芝に最適な芝はどの種類なのか。全国各地の芝を徹底的に分析し、競馬場に合う芝を造り上げた。こうしてできあがったものがエクイターフ。走りやすくて安全な馬場がつくられた。ただ、副産物としてついてきたのが高速化。これにより、誤解が生じることになる。「JRAは速い馬場をつくろうとしているのだろう」「時計が出るということは硬い馬場に違いない」「馬の故障につながる」という意見だ。せっかくつくった走りやすい馬場なのに。

(デイリースポーツ・小林正明)

引用元:https://www.daily.co.jp/opinion-d/2017/10/17/0010648959.shtml

じゃあどうすれば日本馬が凱旋門賞に勝てるのか?実績で示してくれた馬が1頭だけいると思っています。エルコンドルパサーです。昨今、日本馬が凱旋門賞を目指すローテーションとしては天皇賞春や宝塚記念後にスポット参戦が通例になっていますが、この馬だけが1年弱もの間、欧州に長期滞在しています。日本馬が凱旋門賞を制するには、馬が欧州仕様へと変貌を遂げる必要があるのではないか、ということです。

サラブレッドは経済動物と呼ばれます。様々な利害関係が絡むのもそれが前提でないと成り立たない「商売」であるのもよく分かるのですが・・。

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